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【関連動画】『気候不安はあなただけじゃない』(米 PBS Vitals)

気候不安ブロガーのシュフ・パカンヌです。

今回はアメリカPBS(公共放送ネットワーク)の健康情報チャンネル、Vitals(Youtube内)から、「気候不安はあなただけじゃない(原題:Got crimate anxiety? You are not alone)」という動画の内容を再構成してまとめてみました。

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気候不安とは?

アメリカ心理学会によると、気候不安とは「環境の破壊的運命(doom)へのマネ私的な恐れ」であると定義されます。

気候不安を感じている人は世界中に大勢いるようで、例えばTikTokには「#ecoanxiety(エコ不安=気候不安)」の動画がたくさんアップされています。

Got Climate Anxiety? You’re not alone. - YouTube

動画内のレポーターは、気候不安がどんどん強まっていくループ(feedback loop)を次のように説明しています。

気候変動に不安を感じる→暗い未来を予期させるような情報に接する→自分が環境に与えている負荷について評価し始める→罪悪感・苦悩・怒り等を感じる→気候変動に対して自分にできることはないと感じる→自分の日常生活が地球環境を破壊しているのではないかと心配する→さらに不安になる…

Got Climate Anxiety? You’re not alone. - YouTube

気候認識療法:気候不安への新しいアプローチ

このような気候不安のループにハマってしまった場合の対処法について、この動画では「気候認識療法(climate aware therapy)」を紹介しています。

気候不安は比較的新しい言葉であるため、DSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル第5判』2014年出版)には診断や治療の方法が記載されていません。

一方で、現実として気候不安を抱える人は増えてきています。そのため、臨床医や心理学者は、「気候認識療法」という新しい手法を生み出しました。

「気候認識療法」はセラピーの一種で、気候危機が現実のものであり、地球上のすべての人の肉体的・精神的健康への脅威であるという前提のうえに行われます。

このセラピーは、従来の認知行動療法のように、患者の物事への受け取り方・考え方のゆがみを解消する、という目的で行われるものではありません。なぜなら、文気候変動は「患者の認知のゆがみ」により生じたものではなく、現実に起こってることだからです。

「気候認識療法」のセッションにおいて、専門家はまず、気候変動に対して患者が不安や恐れ、罪悪感などを抱いていることを確認します。

そのうえで、「コーピング」の手法を使って、気候変動の現実にあっても、患者がメンタルの健康を保てるよう導きます。具体的には、以下のように働きかけます。

  • 気候変動に関心は持ち続けるが、不安になるような情報には触れないようにする
  • 同じような思いを抱いている人たちと不安を分かち合う
  • 気候変動によって自分に起こるかもしれない現実的な問題を解決する方法を考える

科学雑誌Natureに掲載された記事によると、気候不安に対処するために個人にできる重要なことは、自分がコントロールできる側面に焦点を当てることです。多くの不安というのは、未知の物事や、コントロール不能な状況によって引き起こされるためです。

つまり、気候不安を和らげるには、気候変動を食い止めるために個人的に努力するよりも、自分の気候不安に対処するための行動計画(climate action plan)を立てて実行するほうが有効なのです。

行動計画は、例えば以下のようなものです。

  • 洪水危険区域に住んでいるなら、貴重品を防水ボックスに入れて高い場所に保管するようにする
  • 干ばつが頻繁なエリアに住んでいるなら、干ばつに強い農業についての知識を身につける
  • 災害に対処するための地域のコミュニティに参加する

さいごに

この動画の最後のほうで、気候認識療法は、セラピスト不足や高額な費用がかかる、都市部に集中している等の現状から、受けられる人が限られるのが現状だと言っていました。日本でも、気候不安はまだ認知されてない&治療法が確立されてないのが現状だと思います。

このような現状で動画内のアドバイスに従うのであれば、まずは自分が気候変動によって被るかもしれないリスクに対して備えることが大切なのかもしれません。

よかったら、あなたの気候不安についても、コメント欄やメールで教えていただけるとうれしいです。ご連絡お待ちしてます!